結婚前に話し合っておきたい家事・お金・子どものこと

火曜日(命を迎える準備)

はじめに

私が仕事や相談で夫婦のお話を聞いていると「性格は合うのに、家事とお金と子どものことでいつもケンカになる」という声を本当によく聞きます。

昔の私は「愛があれば何とかなるはず」とどこかで思っていました。
でも現実に困っている夫婦の話をたくさん聞くうちに、考えが変わりました。

今はこう思っています。

結婚は気持ちだけでなく、家事・お金・子どもをどうするかを一緒に考える「チームづくり」

この記事では、研究の結果をまじえながら
結婚前にぜひ話しておきたいポイントを、できるだけ分かりやすくまとめます。

結婚前に話し合うカップルほど長続きしやすい理由

まず、大きな前提です。

アメリカの研究では結婚前に家事やお金などの現実的なテーマを話し合っているカップルほど、結婚後の満足度が高く、離婚率も低いことが報告されています。

また、2025年に出たプレマリタルカウンセリングの研究でも結婚前に将来の暮らしを具体的に話し合ったカップルはそうでないカップルよりも、数年後の関係満足度が高いことが示されています。

つまり

・プロポーズの言葉
・結婚式の場所

よりも

・家事をどう分けるか
・お金をどう管理するか
・子どもをどう育てたいか

この3つを話せているかどうかが、結婚生活の安定に深く関係していると言えます。

私自身も、家事やお金の価値観を言葉にして話せたカップルほどその後の相談が少ない印象があります。
逆に「何となく」で結婚したカップルほど、後からモヤモヤが噴き出しやすいと感じます。

家事の話し合いポイント

家事は「公平」ではなく「納得感」

①家事の不公平感は、じわじわ効いてくる

日本や海外の研究では家事や育児の分担が不公平だと感じている妻ほど、幸福度や夫婦満足度が下がることが分かっています。

特に日本では、共働きでも妻の家事時間が長くなりやすくそれがストレスや「私ばかり」という気持ちにつながりやすいと報告されています。

つまり

・どちらか一方だけが家事を抱え込む
・やって当たり前と思われている

この状態が続くと愛情が薄くなったわけではなくても、関係満足度が下がってしまうのです。

②「何割ずつ」より「何をどこまで」

慶應義塾大学の調査では夫婦の家事・育児分担と妻の幸福度は一方が全部やるより、バランスよく分け合っている時に高くなることが示されています。

ここで大事なのは、単純に家事を50対50にしようとすることではありません。

大切なのは

・お互いの得意・不得意
・仕事の忙しさ
・体力や健康状態

をふまえた上で

「2人が納得できる分担」を見つけることです。

③結婚前に話しておきたい家事チェック

結婚前のデートの時点でも、次のような話ができます。

・洗濯と料理、どちらが得意か
・平日の家事は、帰りが早い方が多めにするか
・休日はどちらがメインで家事をするか
・片づけや掃除に対して、どれくらいきれいさを求めるか

私が相談を受ける中でも「相手は片づけが平気な人だと思っていたのに、自分と感覚が全く違った」というケースは本当に多いです。

完璧に決めなくて大丈夫ですが考え方のすり合わせをしてあるかどうかが、その後のストレスを大きく減らしてくれます。

お金の話し合いポイント

お金は「数字」ではなく「価値観」

①金銭トラブルは離婚リスクと強く関係

お金の話は、恥ずかしくて避けがちです。
しかし、アメリカの研究では経済的なストレスやお金のケンカが多いほど、離婚リスクが高くなることが示されています。

さらに2024年の研究では家計の情報をオープンに共有している夫婦ほど、経済的に安定しやすく、関係満足度も高いことが報告されています。

つまり

・誰がどれくらい稼いでいるか
・何にどれくらい使っているか

を話せている夫婦ほど、ケンカが減るということです。

②結婚前に確認しておきたいお金のポイント

結婚前に、ざっくりでいいので次のことを話しておくと安心です。

・毎月の家賃や生活費をいくらくらいにしたいか
・貯金は月にどれくらいしたいか
・財布は完全に別か、共同口座を作るか
・借金やローンはあるかどうか

研究では、こうした情報を隠したり「言いにくいから」と後回しにしたりするほどのちのち不信感につながりやすいことが分かっています。

私自身、家計のことを共有できている夫婦は不安があっても「どうするか」を一緒に考えるモードになりやすいと感じます。
逆に、お金の話を避けている夫婦は「不安だけがふくらんでいく」状態になりやすい印象です。

子どもの話し合いポイント

人数より「どう関わるか」

①子どもが生まれた後、夫婦関係は大きく変わる

日本の研究では出産後1年以内に、夫婦関係の満足度が下がるカップルが多いことが報告されています。

原因として特に大きいのが

・育児と家事の分担の不公平感
・自分ばかり頑張っているという感覚
・相手に頼れないと感じること

です。

2024年の研究では子育て中の父母にとって、配偶者からのサポートが多いほど主観的な幸福度が高く、夫婦満足度も高いことが示されています。

つまり

どちらか一方が頑張る子育てではなく「2人で育てている」と感じられること

これが夫婦関係と子どもの両方に良い影響を与える、ということです。

②結婚前に話しておきたい子どものこと

結婚前の段階で、次のような話ができると安心です。

・子どもを持ちたいかどうか
・持つとしたら何人くらいをイメージしているか
・育休や働き方をどうしたいか
・しつけの方針や、大事にしたい価値観は何か

ここでも、大事なのは答えをそろえることではありません。

私は、子育て支援に関わる中で考えが違っていても、何度も話し合える夫婦ほど一緒に悩みながら子育てしていると感じます。

「あなたはどう思う?」と聞き合えることそれ自体が、すでに子どもにとっての安心な環境づくりの一歩になります。

3つに共通するキーワードは「チーム感」

ここまで見てきた

・家事
・お金
・子ども

この3つに共通するのは

どちらかが我慢して頑張るのではなく2人でチームとして考える

という姿勢です。

研究でもお互いを責めるコミュニケーションより「一緒にどうしようか」と考えられるカップルの方が長期的な満足度が高いことが繰り返し示されています。

さいごに

話していないなら、今が「はじめどき」私自身、夫婦や家族の相談を受けるたびに思うのは問題の多さではなく「話せるかどうか」が関係を左右するということです。

もし今

・家事の話をちゃんとしたことがない
・お金のことは何となくでやっている
・子どもの話になると、つい先送りにしてしまう

そう感じたとしても、それは決して手遅れのサインではありません。

それは「ここから2人で話し始めよう」というサインです。

結婚は、1回決めたら終わりではなく何度も話し合い、何度もやり直しながら作っていく共同プロジェクトです。

この記事があなたとパートナーが

・家事をどう分けようか
・お金をどう見える化しようか
・子どもをどう迎えて、どう育てていこうか

と話し合うきっかけになればうれしいです。

参考文献

・Stanley,S.M.,Amato,P.R.,Markman,H.J.(2006).Premaritaleducation,maritalquality,andmaritalstability.
・McAllister,S.etal.(2012).MarriageandRelationshipEducation:AMeta-analyticStudy.
・Dew,J.,&Stewart,R.(2012).AFinancialIssue,aRelationshipIssue,orBoth?ExaminingthePredictorsofMaritalFinancialConflict.
・FinancialTransparencyandMaritalSatisfaction.FamilyProcessResearchJournal,2024.
・Albright,D.etal.(2025).FinancialStabilityandRelationshipSatisfaction.
・慶應義塾大学パネルデータ設計・解析センター(2020)夫婦の家事・育児分担と妻の主観的厚生.
・Matsubara,R.etal.(2020).FactorsAssociatedwithTimeSpentPerformingHouseworkandChildcarebyJapaneseFathers.
・内閣府男女共同参画白書2020.
・Iwasa,H.etal.(2024).SpousalSocialSupportinChild-RearingandMaritalSatisfaction.BehavioralSciences.
・Yamakawa,Y.etal.(2023).FactorsinfluencingpostpartumdepressionamongJapaneseparents.

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