はじめに
作業療法士として働いていると 「夫婦仲は悪くないのに、お金の話になるとギクシャクしてしまう」 という相談を受けることがよくあります。
私自身も結婚後、共働きになったときに
- どこまでが自分のお金で
- どこからが「家のお金」なのか
があいまいで、モヤモヤした時期がありました。
「好き同士なんだから、なんとかなるよね」と話し合いを先のばしにしていたら
いつのまにか
- 私ばかり払っている気がする
- どちらがどれくらい貯めているのか分からない
という小さな不満が、お互いの中にたまっていきました。
その後、家計や夫婦関係の研究を調べてみると 「共働き夫婦ほど、お金のルールを言葉にして決めておくことが大事」 だということが、いくつもの研究で示されていました。
この記事では
- なぜ共働き夫婦のお金はモヤモヤしやすいのか
- どんな家計管理のスタイルが満足度を高めるのか
- 今日からできる、シンプルな家計管理のコツ
を、エビデンスと作業療法士としての視点をまぜながら、やさしい言葉でまとめていきます。
共働き夫婦のお金がモヤモヤしやすい理由
共働きになると、収入が増える一方で
- 給料日が違う
- 収入の額が違う
- それぞれに昔からの貯金がある
というように、お金の流れが複雑になりやすいです。
最近の研究では、共働き夫婦の多くが
- 収入は別々に管理
- 生活費だけを一部共有
という形をとっていますが、その中で 「誰がどれだけ負担しているのか分からない」ことが、ストレスや不満につながりやすいと報告されています。
また、家計管理の方法と夫婦の満足度を調べた研究では
- お金の話をオープンにし
- どのように管理するかを一緒に決めている夫婦ほど
経済的な満足度も、関係の満足度も高いことが分かっています。
作業療法士として感じるのはお金のルールがあいまいな家庭ほど、
- 片方だけが「なんとなく責任を背負っている」気持ちになり
- そのストレスが、眠れない・疲れが取れない・イライラしやすい
といった生活の困りごととして表れやすい、ということです。
だからこそ、お金の話は「ケンカの火種」ではなく、生活を守るための大事なテーマとして早めに対話しておくことが大切です。
家計管理をスムーズにする3つのポイント
ここからは、研究結果と現場の実感から「これだけは押さえておきたい」と感じるポイントを3つに絞って紹介します。
- 収入・支出・貯蓄を見える化する
- 負担は金額ではなく割合で決める
- 毎月のミニ「お金会議」を開く
順番に見ていきましょう。
①収入・支出・貯蓄を見える化する
複数の国の研究で、お金の情報を共有している夫婦ほど、トラブルが少なく満足度が高いことが示されています。
ここで大事なのは、いきなり財布を全部一緒にすることではなく「お互いのお金の全体像を、だいたい把握しておく」 ことです。
例えば、次のようなことを紙に書き出してみます。
- それぞれの毎月の手取り収入
- 家賃、光熱費、通信費、食費などの固定的な支出
- それぞれの現在の貯金額のおおよそ
ざっくりでかまいません。
この「見える化」をすると
- どちらか一方だけが多く払っている
- 同じくらいの収入なのに、なんとなく片方だけが我慢している
といった偏りに気づきやすくなります。
私自身も、この作業をパートナーと一緒にやってみたことで「思ったより自分が多く払っている部分もあるし、相手が支えてくれている部分もある」と分かりお互いへの感謝が増えました。
見えないお金は、不安のもと。見えるお金は、相談しやすいお金。
まずはここから始めてみてください。
②負担は「金額」ではなく「割合」で決める
共働きだと、収入に差があることも多いですよね。
最近の研究では
- 収入が高い方だけが家計をほとんど負担する
- 収入差を無視して、全てをきっちり折半にする
といった極端なルールは、どちらかが疲れてしまい長期的な満足度が下がりやすいと指摘されています。
そこでおすすめなのが「生活費は収入の割合で出し合う」 という方法です。
例えば
- Aさんの手取りが月25万円
- Bさんの手取りが月35万円
- 2人の生活費合計が月30万円
とします。
2人の収入の比率は
- Aさん 25
- Bさん 35
なので、合計60として考えるとAさんは全体の約40%、Bさんは約60%です。
生活費30万円を、この割合で分けると
- Aさん 12万円
- Bさん 18万円
となります。
こうすると、収入に応じて無理のない範囲で負担を分け合うことができるので「どちらかだけが頑張りすぎる」状態を防ぎやすくなります。
貯金についても
- それぞれの名義で、手取りの何%を貯金するか決める
- 2人の共通口座に毎月いくら入れるかを決める
といった形で、割合ベースでルールを作ると、公平感を保ちやすくなります。
作業療法士として家計相談に近い話を聞くときもこの「割合で決める」という視点を取り入れてから「なんとなく損している気がする」というモヤモヤが減った、という声をよく聞きます。
③毎月1回のミニ「お金会議」を開く
家計管理に関する研究では
- 収支を把握し
- 目標を設定し
- 定期的に振り返る
という行動を取っている夫婦ほど、経済的な満足度と関係満足度が高いことが分かっています。
そこでおすすめなのが
「毎月1回、30分だけお金の話をする時間をつくること」です。
話す内容はシンプルで大丈夫です。
- 今月の家計は、赤字か黒字か
- 来月に大きな支出の予定はあるか
- 今年中に、何にいくら貯めたいか
などを、ゆるく確認します。
このとき、責める口調ではなく
- 「今月は食費が多かったね。どこを調整しようか」
- 「家電がそろそろ古いから、来年までに買い替え用の貯金をしようか」
と、2人で同じチームとして話すことが大切です。
私の家でも、月末の日曜日の夜にお菓子とお茶を用意して「家計ミーティング」をしています。
- 使いすぎた月も
- うまくやりくりできた月も
一緒に振り返ることで
「お金の問題」ではなく「2人の生活を良くするための話」として前向きに話し合えるようになりました。
日常生活で意識したい作業療法士としての視点
作業療法の世界では、お金の管理も「生活の動作」のひとつとして考えます。
- 支払いのタイミングを把握する
- 引き落とし口座を整理する
- 将来のための貯金を計画する
これらは全て、暮らしを組み立てる大事なスキルです。
そして、お金の不安が強いと
- 眠れない
- 疲れが抜けない
- 仕事や育児に集中できない
など、心と体の調子にも影響してきます。
だからこそ「お金の話をきちんとすること」は、心の健康を守るセルフケアの一部と考えてみてください。
完璧な管理を目指す必要はありません。
- ざっくり見える化する
- 割合でルールを決める
- 毎月少しだけ話し合う
この3つだけでも、家計はぐっとスムーズに回り始めます。
さいごに
共働き夫婦にとって、お金はとてもデリケートなテーマです。
私自身も、話し合いを後回しにしていた時期は
- どこかで相手を疑ってしまう
- 自分ばかり頑張っている気がする
という小さなわだかまりを抱えていました。
でも、勇気を出して
- 収入と支出を一緒に確認し
- 負担の割合を数字で決め
- 毎月少しだけ振り返る
という習慣をつくってからはお金の話をすること自体が、「2人の未来を考える時間」に変わっていきました。
共働きだからこそ、お金のルールは人任せにせず2人で一緒に作っていけると、心の安心感もぐっと高まります。
今日お伝えした3つのポイントのうち「これならできそう」と思ったものから小さく、試してみてください。
その一歩が、数年後のあなたたち夫婦のゆるぎない安心につながっていきます。
参考文献
- Çineli, B. (2023). Money management over the course of marriage: Japanese households.
- Van Raaij, W. F., et al. (2019). The benefits of joint and separate financial management of couples.
- Utami, P. R., et al. (2025). Financial management skills, literacy, and marital satisfaction.
- Baryła-Matejczuk, M., et al. (2020). Financial management behaviours and relationship satisfaction.
- その他、夫婦の経済的満足度と家計管理に関する近年のレビュー研究など


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