はじめに
はじめに、少し私自身の話をさせてください。
私は昔、恋愛が長く続きませんでした。
相手は優しいし、ひどいことをされたわけでもないのに
・本当に私なんかのこと好きなのかな
・そのうち嫌われるかもしれない
・こんな自分でいていいはずがない
と、心の中ではずっと不安でした。
その結果
・相手の顔色ばかりうかがう
・自分の気持ちを後回しにする
・しんどくなって、ある日ふっと距離を取ってしまう
ということを何度もくり返してきました。
あとから心理学や脳科学の研究を読んで分かったのは「自分を好きになれない気持ち」があると、恋愛そのものを続ける力が弱くなってしまう、ということです。
この記事では
・自分を好きになれないと、なぜ恋愛が続きにくいのか
・研究で分かっているポイント
・今日からできる小さな対策
を、できるだけやさしい言葉でまとめていきます。
自分を好きになれないと、恋愛で何が起こるのか
心理学では「自分をどう見ているか」のことを「自尊感情」や「自己肯定感」と呼びます。
自分を好きになれない状態とは
・自分には価値がない気がする
・褒められても素直に受け取れない
・失敗をすると必要以上に自分を責める
といった心のクセが強い状態です。
カナダの研究チームは「自尊感情が低い人は、恋人が自分をどう思っているかをかなりネガティブに見積もりがち」だと報告しています。
実際の恋人は「好きだよ」「一緒にいたいよ」と思っていても、自分を好きになれない人ほど「どうせ建前でしょ」「本当はそんなふうに思ってないはず」と、相手の愛情を受け取りづらくなってしまうのです。
その結果
・安心する前に不安になる
・喜ぶ前に疑う
・素直に甘えるより、試すような行動をとってしまう
という流れが起きやすくなります。
恋愛が長続きしにくくなる理由は大きく3つ
ここからは、研究結果と合わせて「なぜ恋が続きにくくなるのか」を3つに分けてお話しします。
途中途中で、私自身がつまずいたポイントも正直に書きます。
①相手の愛情を信じきれず「試してしまう」
自分を好きになれない人は
・好かれている証拠
・愛されている証拠
を、たくさん欲しくなりがちです。
その一方で
・LINEの返事が少し遅れただけで不安になる
・「本当は嫌になったんだ」と決めつけてしまう
・わざとそっけなくして、相手の反応をチェックしてしまう
という「試す行動」を取りやすいことが分かっています。
こうした行動は、短いあいだは不安を少し楽にしてくれますが長い目で見ると
・相手のほうが疲れてしまう
・ケンカやすれ違いが増える
・「信頼」より「不信感」がたまりやすい
という悪循環を生みます。
私自身も、相手のちょっとした変化に「もうダメかもしれない」と勝手に落ち込んでしまい、相手からすると「急に距離を取られた」と感じさせてしまったことが何度もありました。
②近づきたいのに、傷つくのが怖くて距離を取る
自分を好きになれない人は、もう1つ別の動きもとりやすいです。
それは
・本当は近づきたいのに、近づきすぎるのが怖い
・相手に嫌われる前に、自分から一歩引いてしまう
・悩みや弱音を、なかなか打ち明けられない
という「回避」のパターンです。
恋愛研究の世界では、これを「不安」と「回避」が入り混じった愛着の問題として説明します。
過去の傷ついた経験が強いほど
・距離が近づくと不安になる
・距離をあけると寂しくなる
という、正反対の気持ちが出やすくなります。
その結果、相手から見ると
・何を考えているか分からない
・本音を話してくれない
・急に冷たくなる
と感じられ、関係が安定しづらくなってしまいます。
私も「相手に重いと思われたくない」と思うあまり本当にしんどいときほど「大丈夫だよ」と笑ってごまかしてしまい、後から一気に限界が来てしまうことがありました。
③自分責めで心のエネルギーがすり減る
自分を好きになれない人の中には「自分に厳しすぎる人」も多いです。
・あの時ああ言った私が悪い
・もっといい彼氏(彼女)ならこうできたはず
・うまくいかないのは全部自分のせい
こんなふうに自分を責め続けると心のエネルギーがどんどん減っていきます。
最近の研究でも、強い自己批判はうつ状態や不安を悪化させたり、人間関係の満足感を下げたりしやすいことが示されています。
恋愛は、本来うれしさや安心もくれるものですが自分責めが強すぎると
・そもそも恋愛を楽しむ余力がなくなる
・相手の前でリラックスできない
・関係を続けること自体が苦しくなる
という状態になり、長続きさせるのがつらくなってしまうのです。

研究が教えてくれる「自分を好きになれない人への希望」
ここまで読むと
「じゃあ、自分を好きになれない私はもう恋愛に向いていないのかな」と不安になるかもしれません。
でも、ここで大事なのは「いきなり自分を大好きになる必要はない」という点です。
最近の研究では自分を好きかどうかよりも自分にどれだけ優しくできるかのほうが、恋愛の安定にとても大事だと分かってきています。
この「自分への優しさ」は「セルフ・コンパッション」と呼ばれます。
セルフ・コンパッションが高い人ほど
・恋人とのケンカのあとに立ち直りやすい
・相手の不完全さにも寛容になりやすい
・関係全体への満足度が高い
という結果が、2020年代以降の研究で続けて示されています。
私はこの考え方を知ってから「自分を好きにならなきゃ」と無理に思うのではなく「好きになれない自分にも、少しだけ優しくしてみよう」と方向を変えました。
そこから少しずつ、人と関わることが楽になり、恋愛に対する力みも和らいでいきました。
今日からできる3つの小さな一歩
ここからは、今日からできる具体的なステップを3つだけ紹介します。
全部やろうとしなくて大丈夫です。
できそうなところから、1つだけでも試してみてください。
①「どうせ嫌われる」が浮かんだら、事実をゆっくり確認する
自分を好きになれない人の頭の中には
・どうせ本気じゃない
・そのうち離れていく
・相手はきっと迷惑に思っている
という「前提のことば」がくり返し流れやすいです。
そのこと自体は、これまでの経験が作った自然な心の反応です。
大事なのは、そのことに気づいたときに
・今、私は「どうせ嫌われる」と考えているな
・でも、今ここで見えている事実は何だろう
と、いったん立ち止まることです。
たとえば
・メッセージの頻度は前と同じか
・会ったときの態度はどうか
・自分の中だけで物語を作っていないか
を静かに見直してみる。
これは、昔からある認知行動療法でもよく使われる考え方で、自動的な不安のストーリーを弱める助けになります。
②自分責めのことばを、少しだけ言い換えてみる
自己批判が強い人は、心の中の口ぐせがとても厳しいです。
・だから私はダメなんだ
・こんな失敗するなんて最悪
・こんな自分、愛されるはずがない
こうしたことばを全部やめるのは難しいので、最初は「少しだけ言い換える」を目標にします。
たとえば
・うまくできなかったけど、チャレンジした自分は悪くない
・失敗したのは事実だけど、学びにはなった
・今の自分は完璧じゃないけれど、努力しようとしている
などです。
セルフ・コンパッションの研究では、こうした自分への言い換えがストレスの影響を弱め、落ち込みを防ぐことが示されています。
私も最初は、こんな言い換えをしている自分が「甘えている」ように感じて落ち着きませんでした。
それでも続けているうちに
・感情の回復が早くなる
・相手に八つ当たりしづらくなる
・恋愛そのものに向き合う余力が戻ってくる
といった変化を、少しずつ感じられるようになりました。
③小さな本音を伝える練習をする
恋愛を長続きさせるうえで「自分の本音を少しずつ伝えること」は、とても大事です。
古くからの研究でも、お互いに気持ちや考えを打ち明け合うほど親密さが高まることが、何度も確認されています。
いきなり深い話をする必要はありません。
・今日はちょっと疲れている
・本当は少しさみしかった
・それを言ってもらえてうれしかった
といった、小さな本音からで十分です。
私も、最初は「こんなこと言ったら面倒くさいと思われるかな」とドキドキしながら伝えていましたが
・意外と受け止めてもらえた
・逆に相手も本音を話してくれるようになった
という経験を重ねる中で「話しても大丈夫なんだ」という安心感が増えていきました。
この安心感こそが、恋愛を長く続けるうえでの大きな土台になります。
さいごに
最後まで読んでくださってありがとうございます。
自分を好きになれないまま恋愛をしていると
・いつも不安
・いつも自分が悪い気がする
・いつも相手の気持ちを疑ってしまう
そんな苦しさを抱えやすくなります。
でも、それはあなたが弱いからでも、恋愛に向いていないからでもありません。
これまでの経験や傷つきから心と脳が、全力であなたを守ろうとしてきた結果です。
だからこそ
・自分を責める力を、少しずつ「自分を守る優しさ」に変えていくこと
・相手に好かれることだけでなく、自分を大事にすること
・小さな本音を分け合える関係を育てていくこと
この3つが、ゆっくりとでも恋愛を長続きさせる力になっていきます。
私もまだ完璧ではありません。それでも、以前よりずっと「自分を嫌いなまま頑張る恋愛」から「不完全な自分ごと受け止めてもらえる恋愛」へ
少しずつ移動できている気がします。
あなたも、今の自分を否定するところからではなく、「ここまでよくやってきたね」とそっと自分に声をかけるところから始めてみてください。
その小さな一歩が、長く続くやさしい恋愛へのスタートになります。
参考文献
・Murray,S.L.,Holmes,J.G.,&Griffin,D.W.(2000).Self-esteemandthequestforfeltsecurity.JournalofPersonalityandSocialPsychology.
・Erol,R.Y.,&Orth,U.(2016).Self-esteemandthequalityofromanticrelationships.EuropeanJournalofPsychologicalAssessment.
・Métellus,S.etal.(2025).Attachmentanxietyandrelationshipsatisfaction.CurrentPsychology.
・Ashra,H.(2021).Negativeself-referentialemotionsandmentalhealthinyouth.JournalofClinicalandTranslationalResearch.
・Gao,Y.etal.(2023).Theeffectsofself-criticismandself-compassiononmentalhealth.InternationalJournalofEnvironmentalResearchandPublicHealth.
・Teoh,H.P.etal.(2023).Self-compassion,psychologicalwell-being,andromanticrelationshipsatisfaction.Interpersona.
・Dawson,S.J.etal.(2025).Self-compassionandcompassionateloveincouples.
・Laurenceau,J.P.,Barrett,L.F.,&Pietromonaco,P.R.(1998).Intimacyasaninterpersonalprocess.JournalofPersonalityandSocialPsychology.


コメント